2017/3/9
名古屋ウィメンズマラソン2017展望A
注目の初マラソン選手、石井の特徴は前向きな競技姿勢
目標は2時間22分台、将来的には東京五輪のメダルも
注目の初マラソン選手が多いことも今年の名古屋ウィメンズマラソンの特徴だろう。下記の3選手がハーフマラソンで実績を残している。
安藤友香(スズキ浜松AC):2016丸亀国際ハーフマラソン4位・1時間10分10秒
2016世界ハーフマラソン選手権10位・1時間10分34秒
石井寿美(ヤマダ電機):2016全日本実業団ハーフマラソン3位・1時間10分09秒
2016世界ハーフマラソン選手権36位・1時間13分41秒
宇都宮亜依(宮崎銀行):2017全日本実業団ハーフマラソン優勝・1時間10分47秒 |
ホクレンDistance Challenge網走大会、クイーンズ駅伝などで取材機会のあった石井の特徴として感じられたのは、前向きな競技姿勢である。
昨年11月にクイーンズ駅伝展望コラム(TBSサイト)に書いた記事から抜粋する。
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(2015年のクイーンズ駅伝前日に)どんな選手ですか? と森川賢一監督に質問すると、福島県の学法石川高から入社して2年目で、高校時代に個人種目で全国大会の経験はなく、1万mはまだ一度も走ったことがないという。5000mが16分ヒト桁台と、全国的には無名といえる存在だった。
翌日のレースで石井は、トップ選手たちにまじって区間4位の好走。3人を抜いて、4区で切れかかった流れを引き戻した。間違いなく、期待を込めての5区起用だった。
年が明けると石井は個人種目でも飛躍する。(2016年)2月の全日本実業団ハーフマラソンで3位となって、3月の世界ハーフマラソンの代表入り。5月に初1万mで32分16秒60(東日本実業団2位=日本人トップ)をマークすると、6月の日本選手権は5000m4位、1万m6位とダブル入賞。7月のホクレンDistance Challenge網走大会1万mでは31分48秒24と、今季日本5位の記録で走った(リオ五輪代表以外では最高タイム)。
「昨年5区と言われたときは、自分が10km区間なの? と思いましたが、監督が任せてくれたことを信じて頑張りました。本番はダメでしたが、ハーフマラソンの日本代表になれたことも自信になって、日本選手権も頑張ることができました。自分の持ち味は長い距離を走れること。クイーンズ駅伝は3区か5区かわかりませんが、集団でタスキをもらったら引き離す走りを、トップで来ても平常心で自分の走りをしたいと思います」
五輪代表選手たちと同じ区間を走ることになりそうだが、「そうした選手たちと戦えることは、自分にとってもすごく良い経験になる」と、前向きに考えられるようになっている。
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昨年のクイーンズ駅伝はエース区間である3区を任されたが、貧血だったこともあり区間10位と期待を下回ったが、「それも治ってきた」と森川監督。
高校で無名だった影響もあるのか、“いつでもどこでも”強気に行けるわけではない。昨年の日本選手権では、「(1万mでは)中間点前に、きついと思って離れてしまい、その後はビビって自分の走りができませんでした」(石井)。
それがホクレンDistance Challengeでは、安藤ら実績のある選手も出場していたが、3000mで飛び出し独走した。「網走ではビビらずに行けました」
マラソンでは最初からビビらずに行く。
「目標は、強気ととられてしまうかもしれませんが2時間22分台です」と言ってのける。
ヤマダ電機はチーム作りの基本として、長距離のトレーニングにいかに前向きに取り組むか、ということに主眼を置いている。森川監督が選手たちを前向きなメンタルを持つような指導をしているが、なかでも石井は前向きの選手なのだ。
マラソンで結果を出すことを“当たり前”のように考えているのは、福島県出身ということも影響しているのかもしれない。
福島県矢祭町生まれ。1964年の東京五輪マラソン銅メダリストの円谷幸吉さん(故人)とは、同じ福島県中通り南部地区の出身である。学法石川高時代に全国都道府県対抗女子駅伝の成績で、円谷幸吉賞を受賞したこともあった。須賀川市の円谷幸吉メモリアルホールにも足を運んでいる。
「高校の頃からマラソンに対して、憧れのような気持ちを持っていました。普通に20km走、30km走を走っていましたし、今回のマラソン練習では先輩2人(高田晴奈、竹地志帆)に助けていただきましたが、新鮮で良い練習ができたと思います。(将来的には)やっぱり福島出身なので、偉大な先輩に続いて東京五輪のマラソンでメダルを取りたい。メダルを目指している人たちよりもさらに努力をして、金メダルを取りたいと思っています」
結果はもちろんのこと、石井がレース中にどんな積極性を見せるのかにも注目したい。
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